経営のヒント

2013年10月 9日 水曜日

経営指標のおはなし(安全性)(3)

おはようございます!!

最近、高校時代の同級生と何十年の時の経て、少しずつ交流を再開しています。

私は幸か不幸か、この土地で生まれてからほとんどの時間を過ごしてきました。高校時代よく遊んだ天王寺は再開発され、阿倍野ハルカスを中心に当時より、街全体が綺麗になり、ヒトも集まるようになりました。

私は折に触れ、この街のことも見ているので、正直、そんなに違和感はないのですが、何十年ぶりに帰ってきた同級生たちは、その変貌ぶりに驚くそうです。こうして街は変化を遂げていきますが、いろんな経験を経て、帰ってきている友人たちは根っこの部分はあまり変わっていなくて、ホッとしたりします。嬉しいものですね!

さて、今日は、昨日の「流動比率」に続き、「当座比率」についてのお話をしましょう。

当座比率とは

当座資産÷流動負債×100(%)

で計算することができます。流動比率とよく似ていますね?!

そうです。分子が流動資産から、当座資産に変わっただけです。意味合いもほぼ流動比率と同じで「短期支払能力」を示します。

では、流動資産と当座資産はどう違うのか?といいますと、厳密にはきちんとした定義があるのですが、ザックリ言うと「棚卸資産が入るか、入らないか」の違いです。よって、通常は、流動資産より、当座資産のほうが棚卸資産の分だけ小さい数値になるので、比率も、流動比率>当座比率となります。

昨日、私は他の指標がこれだけではなかなか評価しにくいのに対し、これらの指標は業種業態に関わらず、これだけで評価できる、というようなことを言いました。しかし、実際には業種業態によっては「棚卸資産」がかなり大きく、流動資産の中でも大きな割合を占めている、という場合も少なくありません。卸売業や販売業は通常、やはり他の業種と比べるとどうしても、それなりの棚卸資産を持つ必要がありますよね。

なので、流動比率が仮にものすごくいい数字でも、不良在庫をたくさん抱えているために流動資産が大きく、必ずしも支払能力が高くない場合も考えられます。

そこで、棚卸資産を除いた当座資産を分子にもってきたのが当座比率というわけです。

もちろん、棚卸資産が正常なあるべき資産であれば、これはすぐに販売され、やがて現金になるのですから、これを入れるか、入れないか、というのはどちらが正しいとか、正しくないとかの問題ではなく、あくまでも、「棚卸資産を資金の元として、考慮に入れるか、入れないか」というだけのことです。

ただし、おそらく上のような理由から、業種業態間の差という意味では、当座資産のほうが小さい(他業種であっても比較することができる)と言えます。

今日は、台風24号の影響で広い範囲でお天気が悪いrainようです。
クルマの運転等、お気を付けてください!!
happy01

投稿者 七野恭子税理士事務所 | 記事URL

2013年10月 8日 火曜日

経営指標のおはなし(安全性)(2)

おはようございます!!

今週もまた、沖縄~九州にかけては台風24号の影響で荒れたお天気になっているようです。台風のコース次第では、中国・四国、はたまた北陸などの日本海側や近畿以北にも影響がありそうです。どうか、今日、明日と台風情報には十分、お気を付けください!!

さて、昨日、「私は短期的な支払能力を示す安全性の指標が好きです」と書きましたが、これには理由があります。

それは、前回までお話してきた、収益性や効率性といったものは、業種業態によって、この数値が異なり、その企業の状況の良否は出てきた数値だけで判断することはできません。同業他社や同じ企業でも時系列で3年分とか、5年分の資料が出てきて初めて良否の判断を考えることができます。

それに引き替え、短期安全性を示す、流動比率や当座比率については、いずれの業種業態にも、その数値で大まかな良否が判断できるからです(もちろん、企業の置かれている状況により、必ずしも正確に判るわけではありません)。

というわけで、今日はこのうちの流動比率のお話から始めたいと思います。

流動比率とは

流動資産÷流動負債×100(%)

で計算することができます。

ここで、流動資産とは、現預金をはじめ、売掛金、受取手形など、近い将来、現金となるものの合計を言います。一方、流動負債とは、買掛金、支払手形、未払金、未払費用、短期借入金。。。など、近い将来、支払いをしなければならないものの合計を言います。

つまり、短期的に支払う義務のあるものの合計額を、短期的にお金となるものの合計額で賄うことができるかどうか、を示します。

通常、100~150%程度であればOKと言われています。感覚的には、100%を超えていたら正常とは思われますが、100%を下回る場合には「資金繰りがちょっとシンドイのではないかな?」と思ってしまいます。

逆に、150%を超えて、200%以上とかになっていればどうか?と言えば、確かに財務的な安全性という意味では「盤石な安全性がある」ということができるのかもしれません。

しかし、一方で「お金を貯めこんでいる会社」というのは魅力ある会社と言えるでしょうか?通常なら、もう少し長期的視点に立ち、次の投資をしていかないのか?という疑問が生じるのではないでしょうか?

つまり、財務安全性の指標であると同時に、会社の将来への投資政策(戦略)を占う指標でもあるということができるのです。


さ、今日も一日、素敵な日になりますように。。。。wink

投稿者 七野恭子税理士事務所 | 記事URL

2013年10月 7日 月曜日

経営指標のおはなし(安全性)(1)

おはようございます!!

今日からまた新しい一週間の始まりです。それにしても、10月になってそろそろ一週間が経過しようとしているのに、今年は本当に暑いですね。昨日は、大阪では33度まで気温が上がったそうです。

学生さんで制服があるところや警察官の制服は、通常10月から「冬服」だと思うのですが、こんなに日中、暑い日が続いているのにどうされているのでしょうね。

さて、今週は、経営指標の最後の項目、「安全性」についてのお話です。

「安全性」の指標には、短期と長期があります。短期は、「短期的な支払能力」、つまり、比較的短期間において、この会社がどれほど資金に余裕があるか、余裕がないか、を示すものです。実際にあるお金(現預金)、または短期的に手に入るはずのお金(売掛金や受取手形等)、というものに注目した指標なのです。

一方、長期は、「長期的に見て、この会社は財務状況が盤石か、そうでないか」を示すものです。短期のように、現預金や短期的に手に入るお金、というよりも、会社全体の資産がバランスよく振り分けられているか、何らかの問題によりアンバランスな状態になっていないか、を教えてくれるものです。

具体的には、短期・長期には以下のような指標が挙げられます。

短期的安全性
流動比率
当座比率

長期的安全性
固定比率
自己資産比率
固定長期適合率

私は個人的には、この安全性の指標で特に短期的安全性を示す、と言われている2つの指標、流動比率と当座比率、をよく使います。初めて見る企業の貸借対照表では、つい電卓でこの比率を出してしまうほどです(笑)。

というわけで、明日から、まずはこの短期的な財務安全性(支払能力)について見ていくことにしましょう。

さて、本日の質問は

「今週中に絶対にしておくべきことはどのようなことですか?」

では、今日も元気で一日をスタートさせましょうhappy01

投稿者 七野恭子税理士事務所 | 記事URL

2013年10月 4日 金曜日

経営指標のおはなし(効率性)(5)

おはようございます!!

ずいぶん爽やかな朝ですね。ただ、夜寝るときはまだ少し暑くて、ついつい薄手のお布団にしたら、今朝は少し喉の調子が悪く、風邪気味な感じですwobbly 油断大敵ですねー。皆さんもどうぞ体調管理は怠らないようにしてください。せっかくの「食欲の秋」も台無しになってしまいますから。。。(笑)

さて、本日は金曜日ということで、このテーマも最終日になります。今日も最後までお付合いください!

今日は最後⑤の仕入債権回転期間のお話です。

仕入債権回転期間は、

仕入債権(買掛金、支払手形等)÷(仕入高÷365(日))

で計算されます。
        
売上債権回転期間が売上面からの指数で、こちらは同じものの仕入バージョンです。すなわち、現在の仕入債権の残高は、仕入の何日分にあたるか、を示します。

「支払期間に猶予が許される(ゆっくり支払ってもいい)」ということは、通常は資金繰り面ではメリットとなります。

しかし、早く支払うことで値引きがあったり、また、仕入債務回転期間が長い、ということは通常の支払ルールより資金繰り悪化により遅れている場合もあり、客観的な企業評価をする場合、「徐々に長くなっている」ケースには特に業績悪化を疑うことになります。
          
ただし、この指標は、④売上債権回転期間や③棚卸資産回転期間、との関連して、長短が決まる場合が多く(商品の回転が速く、売掛金の回収が早い場合には、同然、支払もサクサクするでしょうし、その逆の場合には、やはり支払は遅くなりがちでしょう)、これらの指標との絡みや、時系列でみて、どのような傾向にあるか、を知ることで業績判断の一指標となります。

それぞれの指数がそう大きな変化もなく、他の指数(収益性や安全性の指数)も問題なければ、それはその会社のパターンで推移している、と判断してよいのだと考えます。ただし、問題なのは、一つの会社で時系列に見たときに、いずれかの指数(または連動して複数の指数)に変化が生じているときです

棚卸回転期間では、売上の悪化、売上債権回転期間では、取引先の業績の悪化、仕入債権回転期間では、前者いずれかの原因、または何らかの事情による支払状況の悪化、などを考えるのが普通でしょう。

さあ、今週は効率性のお話でしたが、いかがだったでしょうか?また、何かのお役に立てていただくことができれば幸いです。

今週はこれが最終です。また、来週、ぜひこのブログ、のぞいてeyeくださいね!! 

それでは、お仕事がある方も、ない方も、どうぞ素敵な週末をお過ごしくださいhappy01

投稿者 七野恭子税理士事務所 | 記事URL

2013年10月 3日 木曜日

経営指標のおはなし(効率性)(4)

おはようございます!!

昨夜は伊勢神宮の「式年遷宮」の話題がニュースでも大きく取り上げられていましたね。三重在住の友人によると、今年の観光客は今のところ、例年の2割増しupwardrightとか。。。

20年前の式年遷宮を覚えている、という友人によれば、「20年前はこんなに世間の注目を浴びていなかったはず。日本人の意識が変化していることかしら?」と。

うーん、伊勢市の観光客が増えるのはとても良いことだと思うのですが。。。そうですね、日本人の思考はどこに向かっていっているのでしょうね?!

さて、効率性のシリーズですが、本日からはもう一つのグループ、「商品とお金の回転の良否」を示す指標たちのお話です。そのうち、今日は「棚卸資産回転期間」と「売上債権回転期間」を取り上げてみましょう。

③棚卸資産回転期間は、

棚卸資産÷(売上原価÷365)

で計算されます。
            
(売上原価÷365)で、一日分の売上原価を計算しています。つまり、「現在の棚卸資産は、一日分の売上原価の何日分残っているか?」、或いは、「現在の在庫で何日分もつか?」ということです。      
        
通常、棚卸資産は、できる限り持たないほうが資金繰り上はいい、と言われています。   
           
なぜなら、棚卸資産にはそれなりに仕入時に支払が生じており、棚卸資産をそのまま寝かせておく、ということはそれに費やした資金が滞留していることと同じなのです。

とはいうものの、通常の商売においては、まったくもたない、というわけにもいきません。ただ、それぞれの業種業態で理想的な棚卸資産の持ち方(できるだけ少なく、しかし、欠品がでる、ということはない)というのがあると思います。
                         
④売上債権回転期間は、

売上債権(売掛金、受取手形等)÷(売上高÷365(日)) 

で計算されます。
           
(売上高÷365)は一日あたりの売上高を示します。従って、売上債権回転期間とは現在の売上債権(売ったけど、回収できていないもの)の残高は、売上の何日分にあたるか、を示します。

例えば、この数字が10日とすると、この会社は売上として認識されているもののうち、10日分は実際に回収ができていない、ということになります。  回収がいかに順調にできているか、できていないかを示すものです。もちろん、小さければ、小さいほど良いということになります。
              
実際、「売上はものすごく上がっているけれど、資金繰りがしんどい」、という会社があります。その原因のひとつが回収に問題があること(売れているのに、お金の回収がきちんとできていない)であり、最も酷いケースは多額の取引先の回収が長引き、結局、倒産等で回収不能となり、こちらも倒産する、という、いわゆる「連鎖倒産」のケースです。 

さて、本日の皆様への質問は、

「売上債権の回収は100%早期にできていますか?」

今日は比較的涼しい一日になりそうですね。今日も一日元気で頑張りましょうね!!     

投稿者 七野恭子税理士事務所 | 記事URL

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